ギラン・バレー症候群 治療とリハビリの記録

2018年3月にギラン・バレー症候群を発症してから米国ハワイで治療とリハビリを行なってきた。アメリカと日本の比較も含めて参考までに治療の経緯を記録する。

医療費

米国は医療費が高いというイメージがあるので、家族はどうなることかと思ったそうだが、ちゃんとした保険に入っていれば大丈夫である。

アメリカの医療保険は複雑で周りに正しい知識を教えられる人もいないので、退院後に保険会社に行って確認して初めてどれだけの自己負担が必要なのか分かった。僕が入っているHMSAという会社の保険プランでは、年間の自己負担額の上限が$2,500と決まっていてそれ以上は払う必要がない。どれだけ医療費がかかったとしても年間で$2,500だけ支払えばよいと分かって驚いた。

日本とアメリカでは診療報酬に大きな違いがある。

診療報酬というのは医療保険から医療機関に支払われる治療費のことであるが、日本ではすべての医療行為が国が定めた診療報酬点数に基づいて一律に計算されて報酬が決まる。つまりは病院が受け取る診療報酬は一律だし、患者の自己負担額も一律である。

一方でアメリカには診療報酬点数などというものは存在しないので、病院がそれぞれかかった医療費の請求額を決めている。そしてその請求額に対してある割合の金額が保険会社から病院に支払われるのである。その割合は病院と保険会社の交渉で決めれられるもので、それが診療報酬となる。

例えば、僕の場合はヒロメディカルセンターの医療費の請求額(医師の診察費はまた別である)は、約$340,000(約3,700万円!)だったが実際に保険会社から病院に支払われた診療報酬は約$100,000だった。それに対する自己負担額は約$2,000だったので、診療報酬のおよそ2%が自己負担額ということになる。そして残り98%の約$98,000を保険会社が負担して病院に支払ったことになる。

ヒロメディカルセンターの治療費以外に医師の診察費、リハビリ病院の入院費とリハビリ費用、退院後のリハビリ費用、病院への通院費など、合計でいったいいくらかかったか分からないが、$2,500以上は支払う必要はない。これは1つの病気に限らないので、例えば同じ年に風邪を引いて病院に行ったとしてもお金を払う必要はないということになる。

アメリカの医療保険の保険料は高いと言われるが、日本の社会保険と比べてそれほど大きな差があるわけではない。アメリカの医療費が高いというのは確かに正しいが、それは患者の自己負担が大きいということを必ずしも意味しないのである。

 

実は日本の健康保険にも同時に入っているので、請求すれば日本の保険の基準で点数計算された医療費の7割分が支給されることになる。アメリカの保険はほとんど何でもカバーするという印象だが、それと比べて日本の保険は適用基準がかなり厳しいようである。そして健康保険でカバーできなかった分を高額療養費制度で補って収入に応じて月額の自己負担の上限を決めていることになる。

結果的には日本と比較して、米国で治療とリハビリをしたことで医療費の支払いが随分安かったのは確かだろう。